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容体悪化リスク予測における生体リズムの活用

概年概日第4高調波リズムが容体悪化日時を予測する

概日リズムと概年リズムの複合したリズムの位相によって個人に1日4回訪れる死の危険時間帯を予知する
●調査報告の結論
概年概日の複合第4高調波リズム値の高い患者は容体悪化の可能性が高い

  1. 調査の目的
    ・調査の動機
    生体リズム(*1:)の安全/危険モデルに基づきネガティブな影響を調査した。
    ・調査対象
    ネット上で収集した有名人417名の訃報データ(男女比は男性 人,%:女性 人, %)
    ・調査の焦点
    死亡時刻、死亡地、生年月日で算出された生体リズムが危険期にあたる患者(実験群)と、生年月日と死亡時刻をランダムに組み合わせた対照群との間で生体リズム値が異なるか?

    概要
    これは個人の概年リズムと概日リズムの複合したリズムが死亡数の増減と同期していることを示したものである.この生体リズムは,各個人の生年月日を基準とする1年周期(概年リズム)の位相と,日の出を基準とする1日周期(概日リズム)の位相との差として表れる.この調査は,生体リズムの1周を30度の幅で12個のセクタ(扇形)に分け,個人ごとの死亡日時の生体リズムの位相を,対応する各セクタに振り分けた.そして最後に各セクタに振り分けられた回数を数えた.このようにして得られた位相の1周期の間に,4個のピークが90度毎に存在した.ピークの4個のセクタと残り8個のセクタを,死亡日時と生年月日をランダムに組み合わせた対照群と比較したχ2乗検定はp<0.0001であった.この結果から,ヒトの死亡数は,概年リズムと概日リズムの複合リズムの第4高調波と同期して増減していることが明らかになった.
    キーワード
    概日リズム,概年リズム,フラクタル,第4高調波

    1. はじめに

    安全-危険期間の交代と同期する生命活動の基本になっている生体リズムには,数多くの周期がある.その中には,角田忠信によって報告された生年月日を基点とする1年周期のリズムがある(※1).また日の出を基点とする1日周期の概日リズムがある(※2). このような生体リズムは,人間の行動に影響を与える神経伝達物質の働く周期を左右している(※3).さらに概日リズムは1年周期で変動する昼夜の長さの変化の影響を受けている(※4).これらを根拠として,「概年リズムによって変動する概日リズムの周期が人間の行動に影響を与えている」,との仮説を立てた.この仮説においては,この周期を概年概日リズムと名付け,生年月日の日の出をこの周期の基点とした.また,概年概日リズムには生体リズムの一般的な性質であるフラクタル構造を想定した(※5). 筆者は,この仮説を基に,死亡数は生年月日を基点とした概年リズムと複合した概日リズム(以下,概年概日リズムと呼ぶ)の位相に伴って増減していると予測した.そして,基点からの位相と死亡数の増減周期を解析した. 筆者は,この報告によって,「死亡数の増減が概年概日リズムの位相と同期している」事実を提示しようと思う. はたして,死亡数の増減は概年概日リズムの高調波位相に同期しているのだろうか?

    2. 結果

    図1は,個々の死亡日時ごとの概年概日リズムの位相を30度ごとに区切って12セクタに振り分けたグラフである. 死亡地域は全てのデータで明らかになっている.X軸は位相,Y軸は死亡人数である.結果は,予想通り90度ごとに4個の山が生じ,周期性を示している.対照群は実験群の生年月日と死亡日時をランダムに1000回組み合わせて算出した. 図2に示すように,自己相関係数は4回のピークが有意差を示す0.05を超えており,概年概日リズムの第4高調波の存在が確認できる. また,ピークとなった4個のセクタと他の8個のセクタに分けた場合,対照群とのχ2乗検定の結果は,p<0.0001であった.

    3. 研究方法

    3.1. 調査の対象
    死亡人数の時間的な変動と,個人の生体リズムとの関係を調べるためには,生年月日,死亡日時,死亡地域を一組にした多くのデータが必要である. 筆者は,その条件を満たすデータを,ネット上にアップされている有名人の訃報と人名録から得た.
    3.2. データ収集
    訃報からは死亡日時と地域を得て,人名録からは生年月日を得ている.最終的に,417組のデータを抽出した.
    3.3. 分析の方法
    通常,生体リズムの研究で概日リズムを測定する場合,1周期を生物時計の24時間として表示する.しかし,この研究では太陽の座標を用いるので黄道座標系で表示した.また,誕生日を基準とした1年周期の太陽の位相をSBとし;死亡日の,日の出の太陽の位相をSTとし;死亡日時の東の地平線の黄経をATとし;調波をiとし;分析可能な調波の上限をNとした.ただし,i=1~N,(AT-SB)=(AT-ST)+(ST-SB)である. 筆者は調査に入る前に次のような仮説を立て,予測を行った. もし個人の死亡時刻が,概年概日リズムの位相の影響を受けているとすれば,死亡人数は周期的に変動をする.そして,ピークはiの値に応じて(AT-SB)/i=0の近くにある.
    3.4. 対照群
    実測値には様々なノイズとバイアスが含まれている.また,それらの影響の大きさも不明である.そこで筆者は,死亡日時と生年月日をランダムに組み合わせたデータを実測件数の1000倍作成し,実測値に対するのと同じ計算を行った.この処理によって,実験群と同一の死亡日時の分布を成し,なおかつ実験群と同一の生年月日の分布を成している対照群を得た.
    3.5. 位相の求め方
    θは,下記のサイト(※7)から太陽と地平線の黄経を取得して,その後は「4.3. 分析の方法」に記した手順により計算した.サイトの操作手順などの詳細は付録を参照のこと.またθを取得した後の計算は,全てExcelによる私的プログラムを用いた.

    4. 考察

    結論
    この結果に対し,概年概日リズムと死亡日時とが同期していることを示している,と筆者は結論した.この調査は,対照群によって生年月日,死亡日時と地域が統制されている.したがって,このリズムには4回のピークが存在する,と筆者は判断した.この結果をより確実なものにするためには,同様の結果を繰り返し再現することが望ましい.ただし,生体リズムの作用メカニズムについては別の探求が必要である.また,未知のバイアスの可能性を完全に捨て去ることは出来ない.

    図1.死亡日時における概年概日リズムの4回のピーク

    図1は,概年概日リズムの1周期を360度で表し,個人の死亡日時の生体リズムの位相を,30度ごとに区切って12個のセクタに振り分けた場合の,位相毎の死亡人数の変化を表すグラフである.

    図2.死亡日時における概年概日リズムの第4高調波

    図2は12セクタの連続データについての自己相関係数を表示したグラフである.X軸は,1周360度を30度ごとに12分割した位相を表している. Y軸は相関係数である.p=0.05は12セクタの場合の相関係数の有意性のレベルを示す.周期的にこの値を超えると95%レベルで有意な周期である.このグラフでは90度毎に相関係数がp=0.05レベルを超えている.筆者は,これにより,死亡人数が概年概日リズムの90°の位相に同期していることを確認した.

    参考文献
    (※1) 角田忠信:右脳と左脳‐脳センサーでさぐる意識化の世界(小学館1992)p.206
    (※2) 富岡憲治,沼田英治,井上愼一:時間生物学の基礎(裳華房2003)p.2
    (※3) 富岡憲治,沼田英治,井上愼一:時間生物学の基礎(裳華房2003)p.203
    (※4) 富岡憲治,沼田英治,井上愼一:時間生物学の基礎(裳華房2003)p.107~110
    (※5) 川上博:生体リズムの動的モデルとその解析(コロナ社2001)p.31~40
    (※6) 大塚邦明, 時間治療:病気になりやすい時間、病気を治しやすい時間
    (※7) 特許技術サンプルコード